2016年3月4日金曜日

中高一貫指導

先日、当地区のとある高校の監督から、「誠に申し訳ありませんが、ある選手に教育的指導をしてもらえないか」と連絡があった。もちろん、名古屋フットボールクラブ出身の選手である。「こちらこそ教育的指導をしなくてはいけない選手を送って申し訳ない」と答えたのは言うまでもない。

私は、この様な関係を20年程続けている。この様な関係とは、県外に送り出す選手も多いなか、送り出した先の高校の監督と密に連絡を取り合っている。寮生活など親元から離れて生活をし始めたばかりの選手は、様々な面で不安定になっていることが多い。先々での環境を予測して、対応できるように指導はしてきても、全てが上手くいくはずがない。ましてや、親元を離れた選手ではなおさらのことである。

この様に、中学年代の指導者と高校年代の指導者が連絡を取り合って情報交換し、“サッカーという競技の本質は何か”ということや、その先に必要な社会性などを共有しながら、互いに指導することが如何に大切かと考える。

私の経験上、高校生活、特にサッカー部は強豪高校になればなるほど、指導管理が厳しいはずである。そのなかで、自分自身の意志に基づいて、しっかりとした言動が出来る選手ばかりではない。その場は緊張した雰囲気もあって、しっかりするのが当たり前であるが、なかには、緊張した空気のなかにいてこその「当たり前にできる」を勘違いする選手もいる。そういった勘違いをなくすためには、まだ無垢なはずである中学年代にしっかりとした考え方を植え付け、高校年代からはその考え方を基に自分自身で緊張感が作れるよう、中高年代の指導者が連携することも重要ではないかと考える。

今回連絡をくれた高校のサッカー部は、今後も伸びていくであろう。なぜなら、出身チームに連絡してまで、その選手の問題点を矯正していこうと考えること自体、チームやその選手の成長を本気で考えていることに他ならないからである。
まさに“中高一貫指導”の雰囲気である。


小崎 峰利