これらについては、経験上ご家庭では行き届かない可能性が高い。
サッカーに対する想いは皆同じであっても、個々の性格や生活環境などが違うなか、取り組み方や我慢の程度はそれぞれ違う。
近代では“ほめることが重要”とよく言われるが、果たしてほめることだけで良いだろうか?我慢の程度や言われることへのアレルギーはそれぞれ違う。
親から言われるうっとうしさ。好感を持てない先生から言われることへの拒絶反応。それらをすべて飲み込ませること、また、飲み込む前にしっかり咀嚼(噛む)させること。
これらを根気よく言い聞かせることで、コツコツやることの重要さを学ばせることが大切。
難しいことや大変なことに黙々と取り組む選手は必ずいる。
「発育段階でのスナック菓子やカップラーメンは身体に良くない」と言えば大学まで食べない選手。
「最近のサッカーシューズは高価なので、せめてお年玉をためて買いなさい、できるなら新聞配達を走りながらして買ってみなさい」と言ったら、本当に新聞配達を始めた選手もいた。
「風呂を出て必ず股関節のストレッチをすれば、身体は6ヶ月で柔らかくなる」と言ったら、みるみるうちに柔らかくなった選手もいた。
指導者は、時にできそうにもない理想を選手に突きつけるのだが、私が預かる年代は得てして純粋無垢な選手が多いので、果敢にチャレンジする選手も少なからず存在する。
一人でもチャレンジする選手がいれば、いい加減なことは言えない。こちらも真剣に向き合う。場合によっては、親御さんと連携を取り、子供へのアプローチの仕方までアドバイスをさせてもらい、また、私もあらゆる角度から選手にアプローチし、様々な演出も行いながら潜在能力を目一杯引き出すことを目指している。
高校の監督も必ず性格やチーム作りの考え方が違う。
叱り方や檄の飛ばし方も違う。理不尽なことも多々あるのが現実である。
全国の高校について、私が知っている実態を具体的に話すことにより、選手は高校へ進学してから「なるほど、これが小崎監督の言っていたことか」と納得しやすくなり、ストレスを感じることが少なくなるはずである。
選手とは高校へ進学した後もコミュニケーションを取り続けるようにしている。特に県外の高校へ送り出した選手には定期報告をさせている。アドバイスもできるし、選手も名古屋フットボールクラブの存在を常に意識してくれる。
サッカーに対する“取り組み方”“考え方”“対応力”においてのベースがあってこそ、どんなレベル(サッカーの)の高校に行っても迷うことなくやっていける大きなアドバンテージかと考える。
次の年代へつなげるために「頭の中」を改善させていくことが最も重要である。
小崎 峰利