名古屋地区予選は100強のチームが参加をし、上を目指して熱戦が繰り広げられていた。久しぶりにU13カテゴリーのゲームを数多く見ることができた。ここから書くことは、あくまで主観ではあるが、この地区大会で見聞きしたことに関して、感じたことを少し書きたいと思う。
ゲームを見る限り、個人技術、個人戦術なるものがまったくといっていいほど教えられていないと思うチームが、数多くあるという現実に愕然とした。ゲームの中での個人の動きや、グループでの動きなど、戦術に関わるコーチングは多く聞き取れた。しかしながら、個のボール扱いのところに関しては、まったくといっていいほど聞くことはなく、選手にも見受けられなかった。
そういうチームの選手たちを観察していくと、アップでの止める、蹴る、運ぶの基本的なことはやっているが、あくまでアップの為の運動としか見受けられない。ゲームの中である。意図的な体の向きや姿勢、ボール裁き、足裁きは何もない。現代のサッカーは日進月歩で進んでいる。戦術論も進んでいるが、個人技術や個人戦術はもっと進んできている。
サッカーをする上に必要なことを教えられずに成長してしまう選手が、数多くいるであろうことは非常に残念である。Jリーグ発足時の20年ほど前、ボールを奪いに行くとき、「むやみに飛び込むな」「足を出すな」など指導者講習会に行くと、よく言われていたことを思い出す。今大会でもそのような古き時代の考え方をコーチングしている光景を見かけた。「むやみに飛び込むな」というのはまだわかりますが、「足を出すな」はちょっと?と思います。足を出さなければボールを奪えない。いつどうやって奪いに行くか、どちらの足を出すかという技術は必要不可欠である。
もっと大事なことは、足裁き、ボール裁きです。どちらの足でボールを止め、どちらの足でボールを運び、どちらの足でボールを裁くか、それとどういったターンが奪われにくいかなどのステップワーク。またボールを奪われたら、どのように体を寄せ、どちらの足を出しボールを奪いに行くか?など個人技術、個人戦術をしっかりと身に付けなければ、身体能力の高い選手が、この年代で尊重されるに決まっている。
その身体能力の高い選手が、後のJリーガーや日本代表になっていくには、先に書いた個人技術・個人戦術は当たり前のように習得していなければならない。
この年代は、背が高い、低い、足が速い、遅いなど個人差が顕著に出る年代である。ここでしっかりとしたものを身につけさせることが、我々指導者の責務である。
愛知県の全体的なレベルは劣っているとは思わない。細かいことをおろそかにしていくチームが多いことと、そのことに気がついていない指導者が多いことが残念でならない。細かいことを指摘されることの無い選手が、かわいそうにさえなってしまう。
これから訪れるであろう、時間やスペースが少なくなるサッカーでも通用するような、先進的な個人技術、個人戦術を優先的に身につけさせ、それと並行して自分が考え、より良い判断が出来るように指導していくことが出来るチームが増えることを願っている。あとはしっかりとした考え方を持ち、基本的な社会性を身につけさせることも大事であると考える。
小崎 峰利