現在の日本のサッカーは、2002年日韓ワールドカップを境に急激に発展してきている。特に思う事は、今から20年前、Jリーグの発足時においては、その時点でのトップレベルの選手を集めて活動している日本フットボールリーグ(JFL)からプロ化したチームでスタートした。そのプロチームに所属する選手は、まさにその時うまい選手の集まりであった。
しかし、現在は香川真司、長友佑都、本田圭佑、宮市亮、清武弘嗣など現在海外やJリーグで活躍している選手、またU-15、17、20、23など日本代表クラスで活躍している選手のほとんどが、日本や世界を視野に入れて育てられた選手であるということは間違いのない事実である。
まさに世界で戦うことのできる選手を目標とし、サッカーというスポーツを理解させた上で、技術、チーム、生活習慣、マナー、モラル、などなどサッカーを通じて人間的にも成長させていかなければならない。
大げさなことを言っていると思われるかもしれないが、このようなロジックで選手と付き合うことで、必ずそのレベルに行く選手が現れることになる。我が名古屋FCも、こういった哲学で選手育成をしている。
少しでも早くから前述の環境に身をおくことで、サッカーに取り組む姿勢を確立することができると思っている。ただエリート教育をするといったわけではない。小学校1年生から3年生(U-6~U-9)いわゆる低学年は,サッカーの楽しさを感じてもらうことが大きな目的である。その中で自ら考えることを覚え、実行するようになれば、年齢が上がるとともに目覚しい成長を遂げることになると思う。
4年生から6年生(U-10~U-12)においては低学年で身に付けた「自ら行動する」という習慣を、サッカーにおける個人技術、個人戦術の習得に重きをおきながらサッカーに取り組んでいけば、U-15年代でナショナルトレセン、日本代表も現実のこととなるであろう。
しかしながら、全ての選手がそこまで成長するかというと必ずしもそうではない。自ら意志を持って、考え行動することを促す環境に選手を置くことによって、早くから自主・自立を確立することができ、努力することによって成長するという自覚ができれば、人間として成長すると思われる。
また、学習についても、学校生活においても、家庭生活においても考え方は同様です。良い生活習慣を身に付けることから、サッカーの上達も望めることになる。あらゆる可能性のある選手たちに、サッカーだけではなく、どのような世界に行っても役に立つベースを授けてあげることが大事と考える。
そのためには、低年齢からの環境作りを怠ってはいけない。少しでも効率的に吸収させるべく、我々は努力を惜しまない。そのためには、選手とのコミュニケーションを多く取り、サッカーは楽しいと思い、また「達成感」を感じることで、日本流でいえば「もっと頑張ろう」ということになるのではないかと思う。
名古屋FCは、このような方針で運営していきたいと考えている。具体的なことは、グラウンド内外で伝達していくつもりである。これをお読みになったサッカー小僧の保護者の皆様や、愛知県下の指導者の皆様とともに、未来ある子供たちのために、より繊細な指導をすることによって愛知県のサッカー、日本のサッカーを盛り上げていくことが出来ればと思っている。
小崎 峰利