名古屋フットボールクラブ創立以来17年間、ジュニアユースの選手に言い続けてきたことがある。
「キャプテンは代表として一人しかいないが、我がチームは全員がキャプテンの意識を持って行動してくれ。」「上手い選手はいくらでもいる。いい選手を目指してくれ。」このようなフレーズを日々繰り返してきた。
今夏のインターハイにおいて、某Jリーグ関係者と某高校の監督から、「今年の愛知県4強リーグは名古屋FCの選手が活躍していますね。他の高校でもけっこうたくさんの選手ががんばっていますね。びっくりしました。」という電話が入った。
私は高校サッカーに大いに関心がある。しかしながら、選手には勉強のため観戦に行かせることはあっても、私が愛知県の高校サッカーを見学応援に行くことはほとんどない。どこに行ってもOBや保護者の方がいっぱいで気になってしょうがないし、出場しているOB選手の動きが気になって、純粋に高校サッカーを観戦できないからである。
今回の連絡を機にチームスタッフに確認したところ、愛知県で優勝した東邦高校には、名古屋FC及び名古屋FC EAST出身の選手が5名もメンバー入りし、2トップ、ボランチの計3選手が先発出場していた。エースナンバー10番の選手も名古屋FC出身でした。東海学園高校の10番、刈谷高校の11番、中京大中京高校の9番と13番と実に計9名もの選手が4強リーグに出場していたことになる。
今回の連絡を機にチームスタッフに確認したところ、愛知県で優勝した東邦高校には、名古屋FC及び名古屋FC EAST出身の選手が5名もメンバー入りし、2トップ、ボランチの計3選手が先発出場していた。エースナンバー10番の選手も名古屋FC出身でした。東海学園高校の10番、刈谷高校の11番、中京大中京高校の9番と13番と実に計9名もの選手が4強リーグに出場していたことになる。
そこで、愛知県大会に出場していた高校の状況を調べたところ、愛知高校のキャプテンで10番、名経大高蔵高校の10番、旭ヶ丘高校の6番、長久手高校のキャプテンなどなど、かなりの選手が活躍していることが確認できた。今冬の高校選手権愛知県大会も非常に楽しみである。
その後、インターハイ全国大会を観てみると、先の東邦高校は初戦敗退したものの0-2のビハインドからの追撃弾をEAST出身選手が、同点弾を名古屋FC出身選手が入れ(PK戦ではずしたのも名古屋FC出身選手ではあるが・・・)、2回戦2-3で敗退した中京大中京高校の2点は名古屋FC出身選手であった。また、奈良育英高校のEAST出身選手は、まだ1年生ながら全国のピッチに立った。さらに名古屋FC出身の2年生であるが、9年ぶりに全国大会に出場した鹿児島実業高校のセンターバックとして、2回戦からほぼフルタイムでの出場を果たしている。
他にも、メンバー入りこそしていないものの、名古屋FC及び名古屋FC EAST出身選手が、青森山田高校、市立船橋高校、星稜高校など全国トップクラスの実績がある高校で日々努力している。
このようなチームでの活躍を目指した10番の選手が上手い選手か、良い選手かは私には判断できないが、冒頭で書いた「全員がキャプテンであって欲しい」「良い選手になって欲しい」という私の希望が垣間見えたと勝手に思い込んでいる。
そういう観点で思い返せば、過去には私の記憶の中においても、県内の中京大中京高校、東邦高校、愛知高校、旭ヶ丘高校、県外においては青森山田高校のキャプテン、市立船橋高校は副キャプテン、大学においても慶応大学、中央大学、中京大学のキャプテンがいた。
一方、最近の高校生、大学生を観察すると、残念なことがたくさんある。人は一人ではなく、グループ、組織の中で生きている。サッカーもチームという組織であり、我々も家族という最小のグループの中で生きており、学校や会社という組織に通っていることは紛れもない事実である。
このような社会の中で生きていくうえで、最低でも身につけておいて欲しい考え方がある。チーム、いわゆる組織をまとめるのに大切な言動や配慮、そして感謝や思いやり、組織力をアップさせるための原理など、ジュニアユース年代のまだまだ無垢なときに物事の道理や道徳を言い聞かせ、社会性の大切さを説明し、いかに多くの言葉を投げかけてあげるか、どれだけ大事で影響力があるかが、17年間やってきてやっと小さな形となって現れてきた実感がある。
昔は(私の中ではついこの間のように感じる10数年前ですが)、「強いチームを作ること」が中心であった。それも大事な目的には違いないが、徐々に「強いチームへチャレンジし、勝ち抜いていくためにはどうすべきか」「チームや組織の中での存在感」「家族や関わってきてくれた人への感謝」など、このような人間的なことを学ぶことの重要さにシフトしてきた感じがする。その中でサッカーという競技をしっかり理解し、強いチームに行っても困ることのない技術、戦術を習得させることのほうが大事と考えるようになってきたことは間違いない。
このようなチーム作りは、歳をとってきたと感じてしまうこともあるが、年月を重ねながら、たくさんの育成年代を観て、たくさんの経験の中からのから感じるからだと考えるようにする。
名古屋FC及び名古屋FC EASTは欲張りなチーム、すなわち少しでも多くの財産を選手に身につけさせ、高校への進路をしっかり考え、ゆくゆくは選手の将来像を考えた指導と共に、指導者と選手という垣根を越えていい相談相手になっていきたいと切に願っている。
小崎 峰利